世界をまたにかけて活躍する日本の映画人に直撃インタビュー。現在BD&DVD発売中の『終戦のエンペラー』でキャスティングディレクターを担当した奈良橋陽子さんに話を聞く―
■『終戦のエンペラー』で一番苦労したこととは?
日本でもっと撮りたかったんですが、やはり撮影予算がありますので。特に海外のクルーやスターとなると大変です。日本での撮影は結局、2日間だけでした。日本のお話なので、もっと日本で撮りたかったのですが、主にニュージーランドでの撮影になりました。それと同時に日本にはもう、戦後の風景を撮れる場所があまり見あたりません。それも一つの理由でした。
■キャスティングディレクターとは?
日本ではそれほど知られてないと思います。例えばアメリカで1人の監督がある役を探すとします。アメリカ全体で「30歳代の男性で、ビジネスマン的な人」を探すとなると、すごい人数になります。ましてやオーストラリアやニュージーランド、イギリスにも広がっていけばもっと大変です。そうなると、いろんな人を見てはスクリーニングして「この人たちがいいのでは」と選択してくれる、演出の意図をわかる人がいると助かるわけです。それは台本が出来ていない段階からやったほうがいい場合もあります。原作を読んで。「映画ができる、できない」は、どういう人がキャスティングされるかにある場合があります。
■相乗効果・化学反応――それがベストのキャスティング
この仕事で面白いのは、役は台本の中だけでまだはっきりとは見えませんよね。一般の人たちはいろんな映画を観ているからすでにその1人がすでにいるものと思ってしまう。でも最初は全くのブランクですよね。台本から想像したりとか、実際に俳優さんに会ってみて「この人がこの役を演じたら役も飛躍的に拡大するし、俳優も光る」というのがキャスティングの狙いです。いいキャスティングの時は「その人がいるからこの映画が成功した」とか「この人がいるから役が際立って良くなった」、「この役が良かったから俳優が光った」ということがあります。かみ合ったときの瞬間はマジック(魔法)ですね。『ラストサムライ』でも、渡辺謙さんは当時テレビにはよく出演されていたけど、映画はあまり出演されてなかった。だけど彼と勝元という役が合体した時に勝元という役も、謙さんもよりいっそう素敵になりました。相乗効果・化学反応です。それがベストのキャスティングです。
その奈良橋さんがキャスティングディレクターとして活躍した『終戦のエンペラー』が、現在BD&DVDにて発売中。奈良橋さんが言う、“相乗効果・化学反応”をお楽しみください!
『終戦のエンペラー』 発売中
≪セル ブルーレイ≫ 価格3,990 円(税込)
≪セル DVD≫ 価格3,465 円(税込)
発売&販売元:松竹
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