前回に引き続き、ロシア&トルコを食べ歩いてきたその後編である。今回は、ダメ料理も参考までにあげておきたい。
では、5位から紹介していこう。
5位.アドレル/『BEERHOUSE -pap Mapma』のサーモンステーキ(-部分はアルファベットが装飾的すぎて読めず)
時差の関係につき、ずっと起きている状態でゾンビのようにさまよっていた我々がたどりついたのは、黒海沿いのビアハウス。
とりあえず昨日の早朝からベッドで寝ていなかった我々は、景気づけに料理を頼みまくった。ガーリック風味のエビフライ、マトンの塊グリル、フライ付きのサラダなどなど。どれもボリュームがたっぷりかつ、新鮮で激ウマだったが、個人的にはこのサーモンステーキが特に印象に残った。
しっかり下味をつけたサーモンを、パリッとソテーして、さらりとハーブを振ってある。パリッ&サクッってウマくないわけがない! さらにこの付け合せのザワークラウト(キャベツの漬けもの)が、ケチャップライスを作る前に、ケチャップで炒めたしんなり玉ねぎ味のようで、噛めば噛むほど濃厚で甘酸っぱい。パリッサクッでジュワーの無限ループである。一皿470ルーブル(約1400円)。少々お高めだが、実にウマかった。
4位.イスタンブール/屋台の揚げパン
帰りのソチ→イスタンブールで、我々は12時間という、かつて経験したことのない長時間トランジットを経験した(ここでもほとんど寝られず)。空港で時間をつぶすには長時間すぎるため、我々はトルコに一時入国し、電車に一時間ほど乗って、史跡であるブルーモスクとアヤソフィアに向かった。
ブルーモスク近辺を歩いていたら、屋台からいい匂いが……「いいから食ってみろ」と言わんばかりに、おじさんが一切れ渡してくる。
寝てないし、朝からこんな油っぽいものはちょっと……いやウマい! やや油っぽいが、フカフカなパイのような、中華まんの外側のような、不思議な食感と味。おじさん、これウマいよ!
というわけで、お買い上げして取材班総出でソッコー平らげた(ひとつ10トルコリラ=約460円。1トルコリラは約46円)。
3位.アドレル/黒海沿いのカフェのシャシリク
我々の宿から、黒海までは徒歩3分程度。その海沿いをマンダリンショッピングセンター目指して歩いて行くと、右手には対岸の影すら見えないほど広大で静かな黒海、左手には土産物屋やカフェ、マクドナルド、ゲームセンターなどが次々と姿を現す。
ロシア通氏に教えてもらい、この黒海沿いにあるシャシリク屋を目指した……が、江の島のさざえ焼きぐらいの頻度でたくさんあってどれがオススメか分からない。とはいえ、ここでひるんでいる場合ではない。とにかくアタリをつけて入ってみた。
表の炭火で焼いているボリュームでは多すぎる(豚肉の一塊が子どもの握りこぶしぐらい×3~4個で一串)ので、「一串=一人は多いから、一串を三人でシェアするよ? いい?」てなことをしつこく念押しして、案の定英語はまったく通じないが、英語で注文。その結果ちゃんとその通り運ばれてきたのが、このシャシリク。でかい。こんなの一人一皿とか絶対無理なボリューム。
ちなみに、このシャシリクが運ばれてきたときは、でっかいトルティーヤみたいなものがシャシリク本体に毛布状にかけられていた。肝心の味は……ウマい!
福岡の焼き鳥屋には、焼き鳥屋なのに「豚バラ」という名の、豚のバラ肉を薄切りにした串が存在するが、味はあれのでかいヤツを想像してもらえると分かりやすいだろう。豚塊肉串である。これに、先ほどのでかトルティーヤと、辛いソース、生たまねぎをあわせて食べる。最終的に、口の中ではケバブサンドのような仕上がりになる。
ここまではよかったが、飲み物については、注文したものが全部間違っていたのは面食らった。
スプライト→全然違うジュース、コーラ→ペプシ、水→炭酸水。あまりの不正解率に笑いが止まらなかったが、店員のおにいさんが最後に見せてくれた、スマートフォンのロシア語→日本語翻訳画面には、「私の恥ずかしい行いに対して怒りますか? 誠に申し訳ございません」的なことが書かれてあって(店員は全然謝っている風には見えない)、そのギャップにさらに笑ってしまった。
シャシリク一皿大体300ルーブル(約900円)。
2位.イスタンブール/サバサンド
今回のイスタンブール乗り換えで、絶対にやり遂げなければならないミッションがあった。それは「イスタンブールのガラタ橋近辺で売っている『サバサンド』を食べること」。
我々はそのミッションのために、寝不足にもかかわらずひたすら歩いた。険しい旅程だった。「ボスポラスクルーズ」の客引きがしつこく声をかけてくるのをかいくぐり、ついに発見した。「BALIK EKMEK(バルク・エキメッキ)」というのがそれだ。
簡単に言えば、三枚におろしたサバを焼いて、玉ねぎなど野菜と一緒にパンにはさみ、レモン汁をかけて食べる。材料そのままを組み合わせた味だが、日本人にとっては懐かしい焼き魚の味+パン、という意外な組み合わせでイケる! 我々はあっという間に完食した。そして、その直後、気づいた。
有名なサバサンドはここのじゃない! 少し歩くと、「何かのアトラクションか?」というほど揺れる船の上で焼かれているサバを目にした……有名なのはこっちだった。まあ、ウマかったからいいけど。ほかにも、ピクルスのジュースという見るからに禍々しい飲み物があったが、ボケる気力も残っていなかったのでスルーした。
ひとつ6トルコリラ=約280円。
1位.アドレル/『VinoGraD』のニジマスの詰め物
ツチノコではない(冒頭写真)。
「ニジマスの詰め物」(Stuffed Trout)である。凝ったアート作品みたいな風貌だが、ガチの料理である。つめられているのは、キノコのクリームシチューみたいなもの。乗っているのはエビとうずらの卵。どうひいき目に見てもグロいだろこれ! 何をどうしてこうなった。見た目完全にアウトである。
たぶん、海外の人が日本の「活造り」を見るとこんな気分になるんだろうなという暗いムードが一瞬漂う。意を決してニジマスの身を崩しつつ、クリームシチューにからめ食す。こ、これは……ウマい! グロテスクな風貌はさておき、塩焼きされたまったく臭みのないニジマスの身に、濃厚なクリームシチューの味が合うことよ。こんな魚の食べ方もあるのか! という感動すら覚えた逸品である(値段は結構高かったはずだが失念)。
ルックスからのギャップといい、今回の旅で文句なしの1位進呈だ。
では、逆にダメグルメはどうだったのか。ソチで失敗しないためにも紹介しておきたい。
ワースト3位.オリンピックパーク/コカコーラフードコートのペリメニ(Russian Ravioli)
はい。おなじみオリンピックパークの食べ物。ほぼ餃子。左下から逆時計回りに「肉」「じゃがいもとキノコ」「チェリー」。酢醤油でいきたいところだが、ここはロシアだ。当然そんなものはない。というか結構下味がついているから必要ない。
乗っている白いのはサワークリーム(スメタナ)である。これは、特にメインの邪魔をしないのでよしとしよう。「肉」もいい。「じゃがいもとキノコ」も結構イケる。問題は「チェリー」だ。なぜ甘くする必要があるのか。水餃子の肉抜き with チェリー味である。味は推して知るべし。一皿200~350ルーブル(約600~1050円)也。
ワースト2位.オリンピックパーク/コカコーラフードコートのチキンヌードル
またしてもコカコーラフードコート。五輪で世界中の人が集まるからこそ、力を入れてほしいところだが……。このチキンヌードル。のびまくった乾麺のうどん的な麺少量に、野菜炒め少量をのっけたワイルドフード。正直自分で作った方がウマいと思わせる無慈悲な味だった(しかも日によって味が違う)。一皿300ルーブル(約900円)。
ワースト1位.アドレル/日本料理屋『RIS』のえび天うどん(EBI TEMPURA UDON SOUP)
今回の旅で、激しくガッカリしたのがこれ。寿司が結構ウマかっただけに油断していたが、とんだ伏兵だ。サバの生臭いスープに醤油で味をつけ、のびまくった乾麺うどんを投下。トッピングはエビフライ2本。一口食べて一同乾いた笑いしか出なかった。誰か、ロシアの方にまず「うどんのコシ」から教えて差し上げて!
一杯170ルーブル(約510円)。
※不定期でもうちょっと続きます
【関連情報】
ソチオリンピック2014 – JOC
http://www.joc.or.jp/games/olympic/sochi/
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