今回が「裏・ソチ冬季五輪レポート」の最終回。ロシアの自動車について極私的にレポートしたい。
■ロシアの自動車「ラーダ」「ワズ」
アドレルの町を歩いていると、日本車やドイツ車、アメリカ車、中国車など実にいろんな国の車を目にした。中でも、四六時中出くわすのがロシアのアフトヴァース社製「ラーダ(Lada)」だ。「ソ連版カローラ」とも言われるこの車。一体なぜこんなに多いのか。
試しに、ロシアの2013年ブランド別販売台車数を見てみよう。「ラーダ」（ロシア）がダントツの1位で、ルノー（フランス）とシボレー（アメリカ）がそれに続き、日産（日本）、起亜（韓国）、トヨタ（日本）、現代（韓国）、フォルクスワーゲン（ドイツ）、フォード（アメリカ）などがシェアの上位を占める（参考 Association of European Businesses (AEB)）。
このシェアはあくまでも新車販売数の話だが、ともかく「ラーダ」はロシアで今一番売れている大衆車だと言えよう。この車、冷え込んだ朝でもエンジンがかかり、簡単な造りのため修理しやすく頑丈な点が評価されている……というのが実にロシアっぽい。シンプル・イズ・ベスト。ロシアにおいては、最強の車である。
ちなみに、町を走っている「ラーダ」は、1977～78年に発表されたモデルが多く、そのデザインがまたいちいち新鮮で格好いい（筆者だけかもしれないが）。
冒頭写真の角ばったモデル「2107」もいいが、丸ヘッドライト2個の「2103」（どっかで見たことあるデザイン？）、丸ヘッドライト1個の「2101」も、元共産圏っぽいストイックなデザインが素晴らしい。
また、同じく1978年に登場した「ラーダ・ニーヴァ(Lada Niva)」も、フィアットのパンダっぽいなと思ったら、本当にFiat124をベースにしているらしい。こちらもなかなかクールである。
そして、見かけた数こそ少ないが、一目見て好きになったのが、無骨なフォルムの「ワズ(UAZ)」だ。
元々軍事部品を作っていたメーカーから出発し、その後トラックも作り始めたというマッチョなルーツ。この独特な風貌（デザインとカラーリング）は、まるで『風の谷のナウシカ』の巨神兵というか、『ガンダム』のザクっぽいというか……男のメカ心をそそるじゃないか！
さらに、「ワズ」にはジープモデルが存在する。それが、「ワズ・ハンター(UAZ Hunter)」だ。しかも真っ黒って、隠密行動する気マンマンかよ！
そして取材班は、警察署で白と青の警察カラーリングが施された「ワズ・ハンター」も発見した。警察に採用されているってことは、頑丈で手間いらずってことですね。機会があればぜひ乗ってみたい。
そして、こちらも数こそ少なかったが、建設現場近くなどでたまに見かけた、いかつい大型トラックの「カマーズ(KAMAZ)」。「カマーズ」はロシア最大のトラックメーカーで、その堅牢なエンジンはダカール・ラリーで7回優勝したという華々しい経歴を持つ。いすゞや、日野自動車、三菱ふそう以外にもトラックメーカーってあるんだな。世界は広い。
ちなみに、車がらみでは、ロシアのタクシーについても記しておきたい。
ロシアのタクシーは、同じ距離でも値段がバラバラ（要交渉）、運転が荒い＆スピードを必要以上に出す、運転中にケータイ電話に出る、クラクション鳴らしまくりという、ワイルドなドライブが付き物。おまけに大体の確率で英語は通じなかった。
おまけ■ロシアの電車
アドレルとオリンピックパークを結ぶロシア鉄道の新車両は、ソチ冬季五輪用に新調したせいか最新鋭の車両で、シートも広く清潔。車中も静かで暖房がききすぎて眠くなるほど。とにかく快適だった。なお、冬季五輪開催中、スペクテーターパスを見せれば会場までタダで乗車できた。
赤と青のシートのカラーリングも美しい。車両内では、目的地や現在の時速などを電光掲示板で知らせていて、ロシアにしては（！）、なかなか気が利いている。
ところがたまに出くわす旧車両ときたら、古くて狭いシートがびっしり並び、見た目もなんとなくボロい。味があるといえば聞こえはいいものの、その新／旧車両の対比は、成田エクスプレスと旧・東海道線車両ぐらいの差を思わせた。
というわけで、五輪競技がまったく登場しない「裏・ソチ冬季五輪レポート」はこれでおしまい。また、どこかでお会いしましょう。
【関連情報】
ソチオリンピック2014 – JOC
http://www.joc.or.jp/games/olympic/sochi/
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