関連おもちゃが発売するそばから完売するニンテンドー3DS用のRPG(ロールプレイングゲーム)『妖怪ウォッチ』の人気が、子ども向けブームを超えそうな勢いだ。先行して「コロコロコミック」で連載中の漫画、今年1月からゲームと内容がリンクしたアニメ放映も始まりさらに注目が高まる様子をみて、ポケットモンスターのように世界中で人気を獲得できるのではとの期待も出始めている。
パッケージ版累計出荷本数が50万本を超えた2月19日に、株式会社レベルファイブの海外法人LEVEL-5 International America Inc.が公式Facebook上で「日本では『妖怪ウォッチ』のゲーム、アニメともに好調です。英語版がもしあったら、皆さん興味ありますか?」と発言した。すると1000近くの「いいね」が集まり、英語だけでなくスペイン語やポルトガル語、イタリア語、韓国語などへ対応してほしいとのコメントが寄せられた。
今のところ正式に海外版に対応する発表はゲーム、漫画、アニメのいずれも発表されていない。しかし大きな関心を集めているため、ネット上で確認できる日本語版の解説を手弁当で翻訳しつづけるブログや、アメリカ、ポルトガル、タイなど様々な国を拠点にファンクラブのようなものが出来上がりつつある。そして、そこでのやり取りをみると日本と同様、ネコ型妖怪のジバニャンが「kawaii」と人気を集めている。
ゲームの海外版ローカライズも待ち遠しいが、まずアニメ番組の放送が始まれば、より多くの人に親しまれるはずだとアメリカで育った20代の会社員男性は言う。
「アニメ専門チャンネルで放送されると必ず子どもの目にとまります。もちろん吹き替えです。アメリカではアニメで先に『ポケットモンスター』が知られるようになり、そのあとカードやゲームが大ブームになりました。アメリカの友人は、大人になるとゲームをしなくなる人が多いのですが、ポケモンだけはやめられないという人もけっこういます。でも、友だちに何回発音を正しても『ポキモン』ていう言い方がなおらないんですよ(笑)」
『ポケットモンスター』は1996年のゲームボーイ用パッケージ発売以来、シリーズ累計1億7000万本以上を販売する世界で最も売れているRPGだ。プレイヤーはトレーナーとなり、ポケットモンスター、略してポケモンと一緒に架空の世界を冒険する。冒険のなかで様々なポケモンを捕まえたり、育てたり、他のプレイヤーとバトルしたりポケモンを交換できる。
ゲーム発売当初はポケモンも子どもたち中心の人気だった。その後の多メディア展開を経てポケモンはゲームの枠を超えた存在になっていった。いまや年齢、性別、国を超えた長期の人気コンテンツとなり、カードやおもちゃ、漫画やアニメなどを含めたポケモンの累計市場規模は世界で約4兆円とも言われている。
ポケモンが世界で人気を獲得できた理由のひとつに、舞台設定やキャラクターに日本的なもじりはあっても、基本的には無国籍な世界で少年が冒険を経て友だち(ポケモン)とともに成長する物語である普遍性が大きいと言われている。そう考えるとあまりに日本的な題材の『妖怪ウォッチ』の海外展開は難しいかもしれない。だが、ジバニャンは国境を超えて人気を獲得できると10歳を筆頭に3人の子を持つマレーシア人男性が言う。
「マレーシアにはイスラム教徒が多く、私も家族もそうです。イスラム教徒には日本人のようにイヌをかわいがる習慣はほとんどありませんが、ネコなら野良ネコでもみんな可愛がります。だから、ネコ型のかわいいキャラクターは受け入れやすいと思いますよ。日本のハローキティはすでに大人気で、私の娘たちも大好き。きっとジバニャンのことも『かわいい』と言いますね」
キティちゃんが世界中のアイドルになっているように、ジバニャンも国を超えたアイドルになるかもしれない。
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